横浜・山手西洋館の紹介

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横浜市山手町に点在する、山手西洋館。歴史的価値があり、また観光の名所ともなっている7つの洋館を、先月 見学してきました。今回は、それらの洋館について、ご紹介します。

山手は現在は閑静な住宅地、かつては外国人居留地として発展しました。洋館の他、外国人墓地や教会などにも、その面影が見られます。

西洋館の見学への最寄り駅は、元町・中華街駅(みなとみらい線)、もしくは石川町駅(京浜東北線・根岸線)から。

どちらの駅からも急な坂道を登ることになるので、歩いて回るのは大変ですが、その分、洋館周辺の散策コースは見晴らしの良いところばかりです。

<山手111番館>

1926年、建築家J・H・モーガンの設計により、アメリカ人ラフィン氏の邸宅として建てられました。

港の見える丘公園の一部を見下ろす位置に建てられ、スパニッシュ(スペイン風)スタイルと呼ばれる外観が特徴です。

入り口からすぐにある吹き抜けのホールが特徴の一つ。吹き抜け部分の回廊を含めた2階部分へは、構造上の理由・また建物の保護のため普段は立ち入り不可となっています(月に1回、)。

常時見学できる部屋は、1階ホールの他 食堂・居室・浴室。窓辺からも庭園が望めます。

・1階 食堂

・1階 浴室:壁と床のタイルの一部は、創建時のものだそうです。

地階には現在喫茶室が設けられており、隣接する庭園の景色を楽しみながら休憩できます。

バラの咲く時期に訪れると、より一層楽しめるでしょう。

<イギリス館>

1937年、当時としては珍しいRC造で建てられ、英国総領事公邸として使用されました。

1階・2階の一部分が常時公開されています。

1階のホールはコンサート等に、2階の居室の一部が会議や控室として利用されることがあります。

居室や厨房などにみられる造り付けのクローゼットや戸棚は、当時のものが残っているのだそうです。

・正面玄関

・復原された寝室と、隣接する休憩室

・特徴的な丸窓

先の山手111番館と、噴水のある広場を挟んですぐ近くにあり、正面よりも広場側からの方が、左右対称の堂々としたたたずまいを眺めることができます。

<山手234番館>

1927年、外国人向けの集合住宅として建てられました。

建設時は、縦長の3LDKの住戸が4世帯、1・2階の左右対称に造られていました。中央に4戸分の玄関と、階段室がある構造です。

いかにも洋館らしい、上げ下げ窓・鎧戸・煙突といった意匠が見られます。

奥行きがあるで、中央にある小さな光庭(中庭)からも光を取り入れられる構造になっています。

・光庭の内部

1階部分には再現された居間や資料の展示スペースとして、また2階はギャラリーや展示などの貸しスペースとして使用されています。

秋冬は、周囲の紅葉が美しいです。

<エリスマン邸>

1926年、建築家A・レーモンドの設計により山手町内に建てられ、のちに1990年に元町公園内に移築されました。

山手234番館と同様に上げ下げ窓・鎧戸・煙突といった意匠が見られるほか、

水平線を強調したデザインなど、レーモンドの師匠である建築家フランク・ロイド・ライトの影響が細部に見られます。

テーブル・イスなどはレーモンドが設計したものを再現しているそうです。

もともと厨房であったところに喫茶室が併設されているほか、地下ホールは貸しスペースとして利用され、コンサートなどが行われています。また、2階の室内には、山手の洋館に関する写真や模型などの資料が展示されています。

・1階 サンルーム

<ベーリック・ホール>

1930年、建築家J・H・モーガンの設計により、イギリス人貿易商のべリック氏の邸宅として建てられました。

山手111番館と同じ設計者であり、同様に塗り仕上げの外壁・アーチ形の意匠などスパニッシュスタイルと呼ばれる外観が特徴です。

広い芝生の庭から建物正面を望みます。1階、アーチ形のくぼんだ壁の下には水場(壁泉)があり、2階左右の特徴的な小窓(クワットレフォイルと呼ばれる形です)と、多彩な装飾がされています。

室内で公開されている部分も多く、特に見ごたえのある洋館です。

アーチ形の窓が並ぶ、1階の広いリビングルーム。コンサートが行われることも。

リビングに隣接するパームルーム。

白と黒のタイル床、リビングなどの天井の化粧梁、また2階の部屋の一つは壁をフレスコ技法で復原しているなど、見どころはたくさんあります。

・クワットレフォイルの小窓を、内側から。

・2階 各部屋

2階の寝室には、下のような浴室が付いています。

<ブラフ18番館>

大正末期にオーストラリアの貿易商バウデン氏の邸宅として建てられ、1993年にイタリア山公園内に移築されました。

白いモルタル仕上げの外壁、上げ下げ窓・鎧戸などの緑の装飾、2階のバルコニーが特徴的です。

丁度時期的にイチョウの葉が色づいていて、前庭は良い撮影スポットとなっていました。

大正末期から昭和初期にかけて、元町で造られていた「横浜家具」を修復・展示し、当時の外国人の暮らしが再現されています。そのほかに、付属棟は貸しスペースとして利用され、展示などが行われています。

1階の明るいサンルーム

<外交官の家>(※)

※現在修繕工事中であり、2025年3月下旬まで見学ができません。写真は過去のものです。

1910年、建築家J・M・ガーデナーの設計により、明治政府の外交官・内田定槌氏の邸宅として、東京都渋谷に建てられました。1997年にイタリア山公園内に移築されました。

先のブラフ18番館とは庭園を挟んですぐ近くです。

塔屋や下見板貼りの外壁が特徴的であり、また室内も重厚感のある内装となっています。当時の邸宅の暮らしを再現する家具や調度品などが置かれているほか、付属棟の方には喫茶室が併設されており、隣接するイタリア山庭園の景色を楽しむことができます。

どの洋館も、重要文化財や市の歴史的建造物・指定文化財として認定・指定されていますが、入館料はかからず見学できます。また、一部の部屋に建物や町の歴史などに関する資料が展示されています。

観光の名所にもなっており、また部分的に貸しホールなどの利用もされていますが、歴史あるものを長く良い状態で維持する、ということは思うより大変なことだろうと思います。

洋館の散策コースの周辺には、他にも

山手資料館:1909年に建てられた、横浜に現存する唯一の「和洋折衷住宅」。内部には外国人居留地だったころから関東大震災までの、横浜や山手に関する資料が展示されています。

山手68番館:1933年に建てられた外国人向けの賃貸住宅。1986年に山手公園に移築され、現在は公園の管理センターとして利用されています。

その他、教会・庭園・ミュージアム・喫茶店など、この地域ならではの見どころがたくさんあります。

写真を撮影したのは昨年12月中であり、各館内はクリスマスの装飾がされていました。これまでにもイルミネーション装飾が行われたときもありました。が、それらの装飾が無いときでも、十分にそのままの館内・外観の美しさを見ることができるほか、四季折々の自然の美しさも併せて楽しめます。洋館周りの庭園や、散策コース中にバラが植えられているところが多くみられるため、春・秋もおススメです。

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