自由学園明日館(by堀)

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先日、池袋にある「自由学園明日館(じゆうがくえん みょうにちかん)」という建物を見学してきました。

自由学園は、大正10年(1921年)に女学校として設立さた学校です。この建物が学校として使われたのは13年ほどで、生徒数の増加により学校自体は、現在は東久留米市に移転しています。

その後、この建物は「明日館」と命名され、卒業生の様々な活動の場として使われてきました。

設計者は、当時 (旧)帝国ホテルの設計で来日していた、アメリカの建築家 フランク・ロイド・ライト。学園設立者である羽仁吉一・もと子夫妻は、友人である建築家・遠藤新(えんどう あらた:フランク・ロイド・ライトの弟子になります)に相談し、遠藤新を介して、ライトに設計を依頼したそうです。

 1921年、建物がまだ未完成である中で開校。

1922年〜1925年にかけて中央棟・東西の教室棟が完成。その後生徒数が増加して手狭になった為、1927年に道路を隔てた向かい側に講堂が建てられました。東教室棟・講堂は、遠藤新の設計です。(ライトが旧帝国ホテルの設計を降り、日本を発った為)

1934年に学校は東久留米市へ移転、建物は明日館と命名され卒業生の活動の場になりました。

1997年に、重要文化財に指定。

老朽化により、雨漏りがあったり、構造材や各部位に痛みがあったりという状態を、1999年~2001年にかけて中央棟・東西教室棟を保存修理、2015年~2017年には講堂の耐震改修をすることで、竣工当時(基準とした年は昭和2年・1927年)の姿に戻し、現在は使いながら文化財価値を保存する「動態保存」のモデルとなって運営されています。

建物は日頃から同窓会やセミナー・コンサート・展示会、さらにはウェディングなど様々な用途に使われています。たまたま見学に行った日はそういった利用が無く、どの部屋も自由に見て回ることができました。

中央棟の外観写真です。屋根や軒の高さを抑え、水平線を強調した立面は、「草原様式」または「プレーリースタイル」と呼ばれるもの。ガラス部分にみられる幾何学的な装飾とともに、ライトの設計した建築物の特徴でもあります。室内の床面が外の地盤面と同じ高さとなっており、これによる湿気の影響から、以前の床板の痛みが引き起こされたのだそうです。

 

前面の芝生部分を挟み、東西に教室棟があります。

教室内はこのような内観になっており、東教室棟には設立者 羽仁夫妻と、夫妻の立ち上げた出版社「婦人之友社」にまつわる展示室があります。

中央棟ホールのガラス窓。内側から見るとこのようになっています。

保存修理工事前は現在(復原後)と違い、上の写真のようになっていたそうです。換気をしやすくするため、大きな窓の下部分が分割されていたものが、元の形に復原されています。

ホール窓の横には、かつて創立10周年を記念して生徒によって描かれた壁画があります。自由学園の校歌の一節の元となった、旧約聖書の一場面を題材にしているそうです。しっくい壁の中に埋もれていたもの(戦時中、隠さなければならなかったそうです)が、修理工事の中で確認され、修復されたそうです。

中央棟2階・ホールの上部にはフランク・ロイド・ライトや明日館保存改修にまつわる資料が展示されているミニミュージアムがあり、ここからは1階のホールを見下ろせます。

ホールの廊下側には暖炉。「大谷石」という栃木の石材が使われています。同様の暖炉が喫茶室、講堂にもあり、そのほか廊下の床や外部通路にも大谷石が多用されています。

中2階の部分には喫茶室(かつては食堂)。こちらにも特徴的なガラス窓があります。

講堂の外観、そして内部。272人まで収容可能であり、2階席もあります。

内部には耐震改修のプロセスも写真付きで展示されています。

こちらは講堂内の、建築当時のトイレ(現在は使用不可)。保存修理工事が行われる前までベニヤ板でふさがれており、当時そのままの姿で出てきたそうで、当時のことがわかる部分として保存されています。ペーパーホルダーが後ろの壁面についているのも、当時のまま。洋式便器の正しい使い方を知らない方もいたのかも(工事をする職人さんも?)。便器は東洋陶器(現在のTOTO)製。

周辺の道は狭いうえに曲がりくねっており、車1台通るのがやっとの所もあります。そのため、保存修理工事の際は大型車両が入れず、大きな鉄骨なども職人さん達の手運びでの搬入だったのだとか・・・。

見学可能日に1回、ガイドツアーが行われるので、参加してきました。改修前の写真なども交えながら、上でざっと挙げた内容をより細かに説明してもらえます。

建物に関すること以外にも、学園設立や保存修理に至った経緯、設立者の羽仁夫妻やフランク・ロイド・ライトの人柄に関するお話もあったりで、興味深いものとなっています。

見学の最後に、喫茶室で休憩してきました。暑かったので、冷たい飲み物を頼むと、こんなコースターが。 

見学料は喫茶付きで800円。

見学可能の日時が限られており、またイベント等で建物が使われていることもあるので、見学の際は事前にホームページで確認してから行くと安心です。

特に、休日の見学日は月1回程度に限られます。

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