容積率・建ぺい率の特例(by堀)

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建築をする際には、建築物に対して「容積率」という制限がかかります。

容積率とは『建築物の延べ床面積(各階の床面積の合計)の敷地に対する割合』であり、「その敷地に建つ建築物のボリューム」を表します。

容積率は原則として、敷地ごとに定められた数値以下としなければならず、

①用途地域に関する都市計画で定められた容積率

②前面道路の幅員により定まる容積率

の2通りの数値が定められています。

①用途地域に関する都市計画で定められた容積率

その敷地が属する用途地域によって、5/10 から130/10(50%から1300%)と、かなり幅があります。

容積率の制限が10/10(100%) とある場合、敷地面積と同じ値の延べ床面積を限度として建築できる、ということを表します。

②前面道路の幅員により定まる容積率

前面道路の幅員(2以上の道路がある場合にはその幅員の最大のもの)が12m未満である場合には、前面道路の幅員(m)に0.4・0.6・0.8のいずれか(地域によって異なる)を掛けた数値×100(%)以下とする必要があります。

①と② のうち、どちらか数値の小さい方が、その敷地に係る容積率の制限として適用されます。

例として、第一種低層住居専用地域(指定容積率 200%)において、

前面道路が4mの場合 4m ×0.4 =1.6 ・・・160%   200%>160%  ということで、容積率の限度は160%となります。

<容積率の特例・緩和措置>

いくつかのケースにおいては特例や緩和措置があります。

①自動車車庫等部分(1/5)、備蓄倉庫部分(1/50)、蓄電池設置部分(1/50)、自家発電設備設置部分(1/100)、貯水槽設置部分(1/100)、宅配ボックス設置部分(1/100) は、敷地内建築物の延べ床面積に対する( )内の割合を限度として、延べ床面積に不算入。

②建築物の地階で、天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅・老人ホーム等の部分は「当該建築物の住宅・老人ホーム等の部分の合計の1/3を限度として延べ床面積に不算入。

③エレベーターの昇降路、共同住宅若しくは老人ホーム等の共用廊下・階段部分の面積は延べ床面積に不算入。ちなみに、吹き抜け部分は、容積率対象に限らず床面積には算入しません。

④敷地が容積率制限の異なる2以上の区域にわたる場合は、

(当該各地域等の容積率の限度)× (当該各地域等の部分の面積÷敷地全体の面積) の合計がその敷地全体の容積率の限度となります。

⑤建築物の敷地が、幅員15m以上の道路(特定道路といいます)に接続する幅員6m以上~12m未満の前面道路に、特定道路から70m以内の部分において接する場合

→所定の計算により、前面道路幅員の数値が加算され、「前面道路の幅員により定まる容積率」の限度が緩和されます。下図のように、広い道路に近いほど緩和されることになります。

上記のほか、

・第一種住居地域等における住宅で一定規模以上の敷地・空地があるもの

・計画道路(事業決定されていないもの)に面する場合

・前面道路から後退した壁面線の指定がある場合

・特定容積率適用地区等、容積率の特例制度を利用する場合

などで容積率の緩和が受けられるケースもあります(一部は特定行政庁に許可申請等が必要)。

容積率の限度の数値が少なければ『人の収容量の多い建築物を抑えるべき地域(第一種低層住居専用地域など)』で、逆に多ければ『収容量の多い建築物を許可し、積極的に土地の利用を図る地域(商業地域など)』ということになります。地域ごとに建築物の大きさを制限して、採光・通風の確保、防火上の安全(延焼がしにくいよう)を図る、景観を守る他、居住または建築物を利用する人口をコントロールする目的もあります。

続いて「建ぺい率」についてお話しします。

建ぺい率とは『建築物の建築面積の敷地に対する割合』であり、容積率と同様に用途地域ごとにその限度となる数値が定められています。

地域によって、敷地面積の3/10~8/10(30%~80%)となっており、その数値が少ない地域ほど、敷地内の建物の占めるスペースは小さく、空きスペースの割合が多くなります。

建ぺい率算定の元となる建築面積とは、建築物の外壁・柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(真上から見た状態の面積)のことです。

庇及び はね出しバルコニー・共用廊下など、下に壁や柱が無く開放性が高いとみなされる部分については、先端から水平距離1m以内の部分を除外して計算します。

建ぺい率の算定においては、容積率とはまた異なる緩和・特例があり、その例として以下のようなものがあります。

①敷地が、特定行政庁の指定する条件を満たす角地にある場合(例:二つの道路が交わる角度など)

②防火地域に建てられる耐火建築物等・また準防火地域に建てられる耐火建築物等もしくは準耐火建築物等

これら①②の場合は、建ぺい率の限度にそれぞれ10%が加算される、という緩和があります。併用も可能。

③防火地域(商業地域・近隣商業地域で指定建ぺい率が80%の場合に限る)内の耐火建築物等はこの建ぺい率に関する規定は適用されません(敷地面積の100%まで建てられる)。

④容積率と同様に、敷地が建ぺい率制限の異なる2以上の区域にわたる場合は、

(当該各地域等の建ぺい率の限度)× (当該各地域等の部分の面積÷敷地全体の面積) の合計がその敷地全体の建ぺい率の限度となります。

⑤敷地が防火地域の内外にわたる場合、その敷地内すべての建築物が耐火建築物等であるときは、その敷地はすべて防火地域にあるものと見なして ②および③の規定が適用されます。

⑥敷地が準防火地域と防火・準防火地域以外の地域にわたる場合においては、その敷地内すべての建築物が耐火建築物等または準耐火建築物等であるときは、その敷地はすべて準防火地域にあるものと見なして②の規定が適用されます。

建ぺい率の規定も容積率と同等に、採光・通風の確保、防火上の安全を目的として、敷地内のゆとりを確保するためのものです。住居系の地域は、ゆとりを持たせた方が好ましいということから限度の数値は低く抑えられています。

容積率・建ぺい率ともに、建築設計をする上では基本中の基本ともいえる制限です。敷地の規模や状況によっては建てたい建物に対して厳しい制限にもなりますが、設計の工夫によっても様々な緩和や特例を利用することも可能となっています。

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