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野田市三ツ堀の家 平屋のナチュラルモダン住宅
エムアンドエー設計工房は我孫子市を中心に千葉県・埼玉県・茨城県などで注文住宅を施工していますが、この度千葉県野田市のお客様から難儀なご相談を頂き、外観内観とも奥様の要望であるナチュラルモダンでシンプルなデザインに仕上げたこだわりの注文住宅です。
”難儀”な理由とは…
確認申請上は増築になりますが、棟別の二世帯住宅の子世帯部分の建て替えです。
この土地は市街化調整区域にあり、昭和40年代から用途地域の縛りと家族の変改により棟別による増築をしてきた経緯がありました。
子世帯部分の古棟の建て替えを希望し、数年に渡り、多くの建築会社や役所にも相談してきましたが法律上困難と言われ続け、‟やはりリノベーション(リフォーム)しかないのだろうか。しかし、あきらめきれない“と弊社にたどり着いたお施主様。
エムアンドエー設計工房では長きに渡り営んできた設計事務所としての経験とノウハウを生かし、ご希望通り建て替えで出来るのではないか?と提案しました。
今回既存として残す某住宅メーカーのずさんな申請により‘既存不適格’の証明が出来なかったところ(完了 不適合)を行政と何度も審議を重ね、何とか現行基準に適合させての増築(敷地に対して増築であり、規模は新築住宅規模)となりました。どこの会社でもお手上げ状態だった申請であり、膨大な申請図書の用意と時間を有し、エムアンドエー設計工房に於いても簡単ではない案件でした。
【建て替えとリノベーションの違いについて】
耐震性を考えた時、壁の耐震性を上げることは容易ですが、大きな違いはやはり基礎部分を1から作れることにあると思います。
リノベーションでは、既存する基礎に新たに作った基礎を抱き合わせて耐震性を上げることは出来ますが限界があります。建て替えられたことで間取りやデザインが自由になったこと以上に大きかったと思います。
特徴
- 施工床面積 90.36㎡
- 断熱性能: 外皮平均熱貫流率UA値=0.38W/㎡K 断熱性等級6
- BELS(ベルス)による性能評価: 最高等級☆☆☆☆☆5つ星の家(BEI:0.46)54%削減
- エネルギー削減量:73%
- 気密性能: 総相当隙間面積C値=気密測定結果0.30㎠/㎡
- 構造: 2×4工法
- 6帖用(2.2KW)エアコン各世帯1台+空気清浄システムで家中快適な家
- 樹脂サッシ+遮熱高断熱ペアガラス
- 屋根:W断熱(充填断熱+外張断熱)
- 壁基礎:外張り断熱(硬質ウレタンフォーム)
- エキスパンションジョイント
気密測定
中間での気密測定に立ち会って頂きました。
エムアンドエー設計工房では、出来る限り気密測定に立ち会って頂き‘気密’の重要さを体感頂いています。
気密測定の結果は0.3c㎡/㎡
お施主様もYouTubeなどで気密の大切さを勉強していたので満足された数値でした。
施工のポイント
エキスパンションジョイント(EXPJ)
この住宅は既存母屋のプレファブ住宅に2×4工法の住宅を繋げる工事で建築基準法上では‘増築’にあたります。
軽量鉄骨造であるプレファブと木造である2×4工法では地震などの外力に対して揺れ方が異なりますので、ただ単に壁や屋根を繋げてしまうと木造部分に変形が生じ、崩壊してしまう可能性があります。
そこで既存建物と新しく作る住宅を少し離して(今回は100mm)建築してこのエキスパンションジョイント(EXPJ)でカバーします。
建物と建物の間には力を吸収する材が入っていて、地震などの外力を互いの建物に伝えないようになっているので地震の際にも異なった動き(揺れ)をして互いを干渉しない造りになっています。
しかし、街中での増築を見るとそんなことは関係なく普通に既存住宅に壁や柱を繋げて工事している例をよく目にします。
これって!地震の際には非常に怖いです!
竣工
ジョリパット仕上げのシンプルモダン住宅
外壁は、奥様のご要望により、久しぶりに外装にモルタル下地のジョリパット仕上げを採用しました。
モルタルはクラックレス軽量モルタルを採用し、外装材はアイカ工業のジョリパットゆず肌で仕上げました。
ゆず肌仕上げは非常に繊細な仕上げですが、アイカ工業の指定業者さんと取引しているのでどのような仕上げでも安心してお任せ頂けます。
パイン材の板目が映える勾配天井のリビングダイニング
リビングダイニングは屋根勾配を利用した大きな吹き抜けになっています。
一番高いところでなんと5mになります。
一般的な住宅では冷暖房効率を考えると吹き抜けは躊躇しますが、ここはやはり高気密高断熱のなせる業!
冬も夏も快適に過ごせます。
写真左奥に見えるのは予備エアコンです。
初夏や初冬など突然の暑さ、寒さを感じる時や来客で多く人が集まった時などすぐに室温を変えたいときの為にリビングに必ず1台予備エアコンを付けて頂いております。
エムアンドエー設計工房の住宅では大空間でもあっという間に適温になりますよ!
TVボードを兼ねた箱型階段(ボックス階段)
ロフトに上がる箱型階段(ボックス階段)は大工さんの造作です。
階段下空間をTV台や飾り棚に有効活用しました。
集成材を使っているので強度もあります。
大きな吹き抜けに面した10.5帖のロフト
このロフトは、ご主人のテレワークの為に作った書斎ルームです。
ロフト前には天窓があるので、明るく日が注ぎ、空が望めます。
仕事の合間に空をみながらほっと一息!コーヒーブレイクすれば仕事もはかどりそうですね。
奥様こだわりのキッチン&ダイニングテーブル
竣工写真の為ダイニングテーブルがないのが残念ですが、こちらはキッチンとダイニングが対面ではなく横並び一直線のレイアウトになっていて、キッチン横の手摺壁と対面カウンターの横に持ち込テーブルをピッタリ付けて使えるよう設計しています。
キッチンとダイニングを横並びにすると調理→配膳→片付けの動線が短くなり使い易いと思います。
照明計画では店舗照明さながらライティングレールを用いてペンダントとスポットライトを組み合わせおしゃれな空間を演出しました。
奥様のこだわりの洗面化粧台
一見普通の洗面化粧台に見えますが、ここにも奥様のこだわりが詰まっています。
奥様から頂いた画像をもとにご希望メーカーのリクシルの洗面化粧台とサンワカンパニーの三面鏡を20cmの隙間を開けて設置しました。
こちらの三面鏡は他社のものより奥行きがあるのが特徴です。
打ち合わせでは、お施主様と私達のイメージを共有出来るように「こうしたい」というこだわりがある部分は雑誌の切り抜きや画像を見せて頂いてご希望が叶うように設計します。
最後に
先にも記したようにこの物件は市街化調整区域の上に何回かの棟別での増築を重ねてきました。
しかし現況法令と前回棟別で増築した住宅メーカーのその場しのぎの申請によって、話をした各住宅会社や役所からも通常の手続きでは建築不可能と言われて行き場を失った状態でお問い合わせを頂き、お話を伺いました。
私の判断では「現行法で母屋である既存住宅の強度」などを証明する事が出来ると感じ、市役所や千葉県と折衝し、申請にこぎつけるまでに多くの時間を費やしましたがお施主様の希望通りの建築が可能になりました。
設計事務所ならではの判断と機転で可能になった難しいプロジェクトでした。