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防火地域・準防火地域について
都市計画法によって定められている地域・地区の中に、
「防火地域」 「準防火地域」というものがあります。
これらは、「市街地における火災の危険を防除するための地域」として定められています。
駅周辺・幹線道路沿いなど、商業施設や住宅の密集する地域が防火地域に、さらにその周囲に準防火地域が指定されていることが一般的です。
防火地域・準防火地域では、
火事の延焼を抑制し、また消防車等の緊急車両の通行を妨げることがないよう、建築物の構造について制限が定められています。
準防火地域の方が、防火地域よりも制限が緩やかになっています。原則として、以下の表の制限がかかります。
防火地域に定められている 階数・延べ面積に対し必要な建築物の構造
延べ面積>100㎡ | 延べ面積≦100㎡ | |
階数≧3 (地階を含む) | 耐火建築物等 | 耐火建築物等 |
階数2又は階数1 | 耐火建築物等 | 耐火建築物 又は 準耐火建築物 |
※平屋の付属建築物(延べ面積50㎡以下、外壁・軒裏を防火構造)や 高さ2m以下の門・塀など、上の表の制限からの除外有り
準防火地域に定められている 階数・延べ面積に対し必要な建築物の構造
延べ面積>1,500㎡ | 500㎡<延べ面積≦1.500㎡ | 延べ面積≦500㎡ | |
地上階数≧4 | 耐火建築物等 | 耐火建築物等 | 耐火建築物等 |
地上階数3 | 耐火建築物等 | 耐火建築物 又は 準耐火建築物 | 耐火建築物・準耐火建築物又は防火上必要な技術基準に適合する建築物 |
地上階数≦2 | 耐火建築物等 | 耐火建築物 又は 準耐火建築物 | 制限なし ただし木造建築物等で外壁・軒裏の延焼の恐れのある部分は防火構造 |
・耐火建築物とは
主要構造部(壁・柱・梁・床・屋根・階段)のうち、防火上及び避難上支障がないものとして定める部分以外の部分を
耐火構造または特定の技術的基準に適合させたもの
をいいます。
・準耐火建築物とは
・主要構造部(壁・柱・梁・床・屋根・階段)を準耐火構造としたもの
・外壁を耐火構造とし、かつ屋根を不燃材料で造る等としたもの
・柱・梁を不燃材料とし、かつその他の部分を特定の技術的基準に適合させたもの
のいずれかをいいます。
また、耐火建築物・準耐火建築物とも、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火設備(防火戸・防火サッシも含まれます)を設ける必要があります。

建築物が防火地域・準防火地域またはその他の地域にまたがる場合、
建築物が防火壁で区画されている場合を除いて、建築物全部について厳しい方の制限が適用されます。
建築物の用途(敷地が複数の用途地域にまたがる場合)と異なり、防火地域等は建築物の延焼防止が目的であるので、建築物がどの地域に属するかが重視されます。
法22条地域について
防火地域・準防火地域以外に、火災の延焼を防止する目的で設けられている「法22条区域」があります。
その名の通り 建築基準法22条において定められており、都市計画区域内では防火地域・準防火地域以外のほとんどの地域が対象となっています。
防火・準防火地域以外でも、一定の用途および規模以上の建築物は耐火・準耐火建築物とする必要がありますが、それ以外の建築物(戸建ての住宅も)は、
法22条区域内の場合
・屋根を不燃材料で造る・もしくは葺くほか、国土交通大臣認定のものとする。
(茶室・あづまや等、また延べ面積10㎡以下の物置等で延焼の恐れのある部分以外の部分など、除外あり)
・区域内の木造建築物等は、その外壁で延焼の恐れのある部分を、屋内側に石膏ボード(厚さ9.5mm等)を張り、屋外側を土塗壁等または国土交通大臣認定のものとする。
というように、屋根・外壁の構造に制限がかかります。
防火地域等で建築をする場合、建築物の耐火・防火性能が求められるので、万一の火災においても被害を抑えやすいと考えられます。
また、耐火建築物・準耐火建築物は、それ以外の建築物に比べて火災保険料等が割安になることがある、ということもメリットの一つです。

一方で、耐火・防火性能の高い屋根材・外壁材・サッシ・ドア・構造部材等を使用することになるため、建築費用が割高になりやすいという面もあります。
防火地域・準防火地域・法22条区域のほか、東京・大阪などの都市部では、条例で独自の防火に関わる建築制限を指定しているところもあります。
建築計画の際には、それらの確認も必要不可欠となります。
ちなみに防火地域または準防火地域で、耐火建築物もしくは準耐火建築物を建てる場合・・・
建ぺい率(計画建物の建築面積の、敷地面積に対する割合)の算定においては、
①建ぺい率の限度にそれぞれ10%が加算される という緩和があります。
また、
②防火地域(商業地域・近隣商業地域で指定建ぺい率が80%の場合に限る)内の耐火建築物等は建ぺい率に関する規定は適用されません(敷地面積の100%まで建てられる)。
※1:敷地が「防火地域」の内外にわたる場合、その敷地内すべての建築物が耐火建築物等であるときは、その敷地はすべて防火地域にあるものと見なして ①および②の規定が適用されます。
※2:敷地が「準防火地域」と「防火・準防火地域以外の地域」にわたる場合においては、その敷地内すべての建築物が耐火建築物等または準耐火建築物等であるときは、その敷地はすべて準防火地域にあるものと見なして①の規定が適用されます。