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ダッチコロニアル様式
今回はダッチコロニアル様式についてです。
まず・・・
ダッチ(Dutch)とは
「Dutch(ダッチ)」はもともと「ドイツの」という意味で、ドイツとオランダを含む地域のゲルマン民族やその言葉を「Dutch(ダッチ)」と呼んでいたようですが、オランダが独立し頭角を現すと、イギリスのライバルとなり「Dutch(ダッチ)」という呼び方がオランダに限定されるようになります。
アメリカでのダッチコロニアル様式は、17世紀後半から18世紀初頭にかけて、オランダ人移民やその影響を受けたイギリス人によって建てられた建築様式です。
これは主にニューヨーク、ニュージャージー、デラウェア、ペンシルベニアなど、現在のアメリカ東海岸に広がりました。この時期、オランダはニューアムステルダム(現在のニューヨーク)やハドソン川沿岸の植民地を持ち、その影響がこの地域の建築に反映されました。
歴史的背景と発展
ダッチコロニアル様式の発展には、オランダの植民地拡大が大きな要因となりました。17世紀初頭、オランダは東インド会社(VOC)や西インド会社を通じて、アジアやアフリカ、アメリカに植民地を築きます。これらの地域では、オランダ人移民と現地の人々との間で文化交流が進み、建築様式にも影響を与えました。
オランダの植民地では、地元の気候や環境に応じた建築物の需要が生まれました。特に熱帯地域では、高温多湿な気候に適した建物が求められました。このため、ダッチコロニアル様式の建築は、熱帯地域特有の気候条件に対応する設計となりました。
建築の特徴
1 木造構造とスローピングルーフ:
ダッチコロニアル様式の建物は一般的に木造であり、屋根は急な勾配を持っています。これは、豪雨や強風に対する耐久性を高めるためで、屋根材は茅葺きや木製のシングルが使われ、地域の伝統に合わせて選ばれました。
2 ガンブレル屋根:
ダッチコロニアル様式の一部の建物では、ガンブレル屋根(独特の二重の勾配を持つ屋根)が特徴的です。これはオランダの伝統的な屋根形式の影響を受けており、雪の積もりを防ぐ効果がありました。
3 大きな窓と外壁の素材:
建物の外壁はしばしば煉瓦や木製のサイディングが使用され、これにより耐久性と絶縁性が向上しました。また、多くの場合、窓は大きく、縦長の形状をしており、これは室内に自然光を取り入れるために設計されました。
4 装飾的なトリムと柱:
外壁や屋根のトリム、および玄関や窓周辺の柱は、装飾的な役割を果たし、建物全体のエステティックを向上させました。これらの装飾は、ヨーロッパからの伝統的な要素を反映しています。
5 ダッチドア
ダッチドアと呼ばれている玄関扉は、扉が上扉と下扉の2段に分かれていて、それぞれが別々に開閉できることが特色です。しかしオランダの扉は必ずしもこの形ばかりではなく、ダッチドアを使わないダッチコロニアル様式の建築も多数存在しています。
影響と遺産
ダッチコロニアル様式の建築は、その地域の文化や社会経済的な背景を反映しています。これらの建物は現在でも歴史的な価値が認められ、一部は修復や保存が行われています。
特に観光地としても人気があり、その地域の文化遺産として大切にされています。
また、ダッチコロニアル様式の影響は、建築のみならず、家具やインテリアデザインにも及んでいます。オランダの技術と現地の素材や伝統が融合した独特のスタイルは、多くの人々に愛され続けています。
ダッチコロニアル様式は、オランダ植民地様式と和訳できる建築様式です。
今のニューヨークが、かつてはニューアムステルダムと呼ばれていたように、17世紀以降オランダの植民地として開拓された北米東海岸の土地が、後に英蘭戦争でイギリスへと割譲されてからもオランダからの入植者が中心であったことから、彼らのアイデンティティを表現するものとして、オランダの建築様式による建築物がこの地で多く建てられました。
日本では見かける事は非常に少ないデザイン様式ですが、ガンブレル屋根(腰折れ屋根)にすると小屋裏を有効に使えるので3階建て住宅のデザインとしては有効なものと言えます。
そう、魔女の宅急便のジジが住む、あのデザインがダッチコロニアル様式の変形です。