エムアンドエー設計工房の変遷について その2 by宮崎

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能登半島では元日の大地震に引き続き、先々週末の記録的な豪雨による浸水や土砂災害が再び起きました。

災害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

目次

最初に目指したもの・・・第一世代

専業の設計事務所時代から知り合い、信任を頂いたお客様より住宅の設計の仕事は時々頂いていました。

デザインは基より、こだわったのは今でも同じで「構造」と「断熱」、そして「換気+空調」でした。

構造は前回書いたように勤務していた設計事務所時代からなじみのあるツーバーフォー工法で設計していました。

皆さんもご存じのようにツーバーフォー工法は‘地震に強い’という特徴があります。

これは床や壁、天井などが面で構成され‘モノコック構造’となっているからで、日本の在来軸組工法の筋交いという斜材を柱や梁といった‘水平垂直軸’に留め付ける柔な構造と‘横揺れ’という面で特に効果を発揮する構造なので地震の多い日本では有効だと思い採用し、今でもさらに進化させて設計しています。

阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、本年元日に起きた能登半島地震でもツーバイフォー住宅では一棟の倒壊も無い事がその表れです。

ツーバーフォー工法
ツーバーフォー工法

先のブログでも書きましたが当初の住宅は‘充填断熱’という天井裏や床下、壁は壁中に断熱材を入れる断熱方法で建築されています。しかし、この方法は正確に施工しなければ壁の中を結露させてしまうので非常に気を使います。しかしこの断熱工法は資材のコストが安価なので、今でも多くの現場で見ますが実にいい加減な施工がされています。その多くが建売住宅ですが、購入される方はわからないのでかわいそうになります。

充填断熱 天井
充填断熱(天井)

最後に「換気+空調」。

この当時換気が法令化されて間もなくでしたが、換気にも興味があったので簡単な換気扇を取り付けるだけのものではなく、建物の気密を高めて自然給気+機械式ダクト排気の3種換気とし、これも当時、とある方から紹介された全館空調を導入して設計を行っていました。

また換気については、第一種換気がまだ性能面やメンテナンス面で多くの難点があり、さらに全館空調のコストも今とは違い少し無理すれば導入出来たというのも理由の一つでした。

全館空調を入れるという事は窓を開けずに一年中空調に頼る事で、この手法を‘アクティブデザイン’といい、‘閉じた設計手法’と言われています。断熱と気密を高めて暖冷房にかかる費用(光熱費)をあまりかけずに快適な空間を作る事が出来たのですが、季節が良い時や外が快適な環境でもお施主様は窓を開けずに空調設備に頼ります。またお施主様は「快適なのは全館空調のおかげ」と思ってしまう、という高断熱高気密を勧めてきた私としてはあまり嬉しくない状況になってしまう事態となりました。

全館空調

そこで・・・・第二世代

断熱・気密についてはさらに進化をさせたうえで全館空調の採用を止めました。

当時の全館空調導入費用は一棟あたり約200万円でした。現在ではその2倍で以上と聞きます。

そこで夏はエアコン1台での冷房、冬は電気蓄熱式暖房機1台での暖房とする事にしました。

高気密高断熱住宅 電気式蓄熱暖房機
高気密高断熱住宅 電気式蓄熱暖房機

当時は世間的にも‘オール電化’を推進している事もあり、弊社の住宅でもこれ以降お施主様の要望が無い限りは‘オール電化住宅’となり、今でも同様です。

小さな熱源での快適性を得るためにまずは、断熱材や工法を見直し、変更しました。

‘外張り断熱’(アキレスボード)の採用です。

断熱材の建築費用は以前の充填断熱材約3倍になりましたが、その性能値や施工法は充填断熱材とは比較にならないくらい優秀で、同時に気密の値も大きな工夫をせずとも当時から0.5c㎡/㎡前後となり超‘高気密住宅’となりました。

高気密高断熱住宅 外張り断熱

断熱性能は言うまでもありません。基礎、外壁、そして屋根までも外側から包む外張り断熱工法は室内環境を快適に保ち、また断熱材や構造材を腐らせる壁体内結露を起こすことなく生涯健全な状態を保つ事が出来ます。

さらに外張り断熱を採用する事で壁の中の配線や配管を自由に設計出来るようになったのも大きな進歩でした。

この外張り断熱を採用する事で、当時から高断熱高気密のレベルは「そのまま北海道地域に建てても満足出来る」レベルに達し、サッシは、以前から’遮熱高断熱ペアガラス樹脂サッシ’を採用していたので、外壁の遮熱断熱、そして窓の遮熱断熱が格段にUPしました。

この革新があった事で‘力わざ’でもある全館空調から、前記のエアコン+蓄熱暖房機という暖冷房方式に変える事になり、この方式は電気料金の体系が変わるきっかけとなる東日本大震災まで続きました。

当時の省エネ基準・・・・

省エネ基準は1997年の第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で採択された‘京都議定書’を基に基準が改められた1999年の‘次世代省エネ基準’。

この当時、この基準が私たちの住宅作りのさらなる基礎となり、初めて住宅の性能を数値で表す事が出来るようになります。それがQ値です。

Q値

Q値とは、建物の断熱性能を表す指標で「熱損失係数」の略称で、建物内外に1℃の温度差があった場合に家全体から逃げていく熱量を延床面積で割ったもの、それがQ値で、天井、外壁、窓等の部位を伝わって逃げる熱と換気によって失う熱量の合計を延床面積で割ると算出されます。単位床面積当たりの熱損失量を表しますので値が小さいほど熱損失量が小さく、断熱性が高いというわけです。

ですが、これよく考えてみると床面積が大きければ分母が大きくなるので数値が有利(つまり断熱性能が高く数値化される)に働きます。当然小さい面積の時には係数を入れる事で均衡を図る事が出来るのですが、、、、

この不均衡を是正した改正基準が、平成25年省エネ基準で示されたUA値(外皮平均熱貫流率)です。

この違いはQ値が床面積で除しているのに対してUA値では外部の面積で除します。これによりそれぞれの部位での数値を足して平均化する事で大きな家でも小さな家でも正確に家全体の断熱性能をほぼ数値化できるようになりました。

次世代省エネ基準でのQ値

当時の基準は、おおまかに

北海道で1.6W/㎡K以下、主に北東北:1.9W/㎡K以下、南東北:2.4W/㎡K以下、また関東以西:2.7W/㎡K以下となっていて、弊社住宅では平均して1.3~1.6W/㎡程度でしたので当時から高気密高断熱住宅でした。

また、これはあくまでも基準であり義務ではなかったので、今でこそ猫も杓子も‘高気密高断熱住宅’といってはいますが、当時では真剣に取り組んでいる会社は非常に少なかったんです。

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