独立する前、僕は長年設計事務所に勤めていました。 エムアンドエー設計工房は今でこそ工務店の顔ももっていますが、1994年に設計事務所として立ち上げました。
エムアンドエー設計で家を建てる方は、住宅メーカーに疑問を感じていらっしゃる方が多いんです。住宅メーカーでは営業マンがお客様の要望を簡単にお聞きし、次回来店した時には、平面図と立面図が出来上がっていて「これで、契約しましょう」ってなるらしく、契約してしまったら、キッチンから外壁にいたるまでオリジナル商品の中から選定して終わり。生涯に1度か多くて2度しか建てられない一世一代の大イベントがこんな簡略化されて終わりだなんて悲しいなって疑問を感じます。
エムアンドエー設計では、必ず、設計士である僕とコーディネーターで主婦でもある中西が同席して3か月間じっくり打ち合わせをします。そんな中で間取りだけではなく、どんな暮らしを望んで家を建てたいのか、どんなことに趣味があるのか、5年後、10年後はどうなっているのかなど、様々な視点から打ち合わせをして決めていきますから、みなさん「打ち合わせが楽しかった」「エムアンドエーさんに頼んで良かった」って言って頂いています。
又、設計事務所ならではの図面の精度や密度、そして数が違います。 打ち合わせでは住設メーカーショールームにおいて住宅設備機器の選定から持込家具の位置、使い勝手に合わせたコンセントやスイッチの位置まで全てを図面化します。 収納内部では棚の奥行きから枚数まで、詳細な打ち合わせを行います。 また通常では描くことのない図面まで詳細に記載するので、工事に入ってから「あそこはどうだったかな?」などの疑問や不安はありません。
僕は設計事務所勤務時代よりも前に現場監督をやっていた経験があるんです。 意外と現場を知らない設計士さんて多いんですよ。紙の上(図面上)では成り立つけど、現場では納まらないのに「そんな事は現場で考えてくれ」なんて偉そうにしている建築家。僕は独立してもそんな風になりたくないって思いました。
プランやデザインが素晴らしくても、ちゃんと監理してくれている?ってお施主様なら誰しも心配すると思います。新入社員で設計士になったばかりや対して勉強もしていない現場監督じゃあ、なんか心配じゃありませんか?
ましてやどんなに良い思想や知識で設計された家でも作る側の意識が低ければ、‘絵に描いた餅’です。現にそんな家を未だに数多く見ます。エムアンドエー設計で採用している大工さんや協力会社は設計者である私の考えを忠実に形にしてくれる、そんな職人集団なんです。
住宅メーカーのように図面を書くのは下請けの設計事務所で、現場も下請け、大手では孫請けの工務店。なにかあったら、アフターメンテナンス部門の苦情係りにまわしちゃって、一体だれが責任とってくれるの?って、それでは素晴らしい思想も伝わりません。僕は、建築士事務所協会の建築相談調査会の建築士でもあるので、そんな注文住宅をたくさん見てきました。
うちは小さい会社だから、何かがあっても誰にも責任を押し付けられない。 最終的には僕が責任を取るしかありません。 だから構造図も僕が書き、現場も僕が見るんです。
実は僕はラップサイディングにステンドグラス入りの玄関ドア、窓トリムがあるアーリーアメリカンスタイルのデザインが好きなんですが、お施主様の中には、和モダンやシンプルモダンが好きな人だっています。自分好みで建てられるのが注文住宅の良いところでもありますから、デザインはオールマイティーに設計します。
ただ、断熱と気密と構造にはこだわりがあって、目に見えない所に安いものを使った、性能の悪い家は建てたくありませんから、そこには譲れません。 家づくりの実例を見てもらってもわかるようにエムアンドエー設計の家ってデザインが‘まちまち’って感じると思いますが、そこは、「一生、その家で暮らす」お施主さんが喜ぶデザインがいいなって思っています。
エムアンドエー設計工房代表 宮崎浩行
まずは、主婦であること。母であること。 ここをちゃんとしないといけないと思っています。 仕事が忙しくて家がめちゃくちゃ散らかっていたり、出来合いのお弁当を買ってきて夕食を済ませたりしている人が、お客様の使い勝手や生活動線、設備機器の選定などでよい提案は出来ないと思うんです。 私自身が、キッチン下収納のものが取りやすい工夫があったり、壁が子どもの手垢で汚れても簡単にきれいに落とすことを知っていたり、手の込んでいそうなお料理が簡単に作れたりすることが色々なシチュエーションを想定した提案に繋がり、信頼につながると思っています。
ある時、こんなことがありました。 「これって関係ないと思うのですが、私、デミグラスカップを集めるのが趣味なんです」と奥様。 「それって、飾りたくないですか?」と私。 「飾れたらうれしい!!」と奥様 そこで、リビングにカップ専用ニッチを作りました。 コーディネーターが常に打ち合わせに同席することで、家づくりの楽しい提案が生まれます。
住宅設備については使い勝手や掃除のしやすさなど、さまざまなシチュエーションを想定してお施主様と共に決めさせて頂いています。 ここで、これを読んで頂いている方にお伺いします。
・洗面台の下には何を仕舞いますか?
・タオル類ですか?バケツですか?
聞かれなければ考えないこと、住んでから考えてもよさそうなことですが、タオル類ならば、洗面台は引き出し式が便利です。バケツならば扉でないと入りません。 洗面所に下着などがしまえたら部屋に取りに行かずに済み便利ではないですか? こんな風に打ち合わせが3か月も続きますから、いつしか、お客様とビルダーという垣根を越え仲良くなっていきます。
私が今の仕事に着こうと思ったきっかけは、自宅を建てた20年前に遡ります。 どこの土地がいいかな?どんな間取りが住みやすいかな?どんな壁紙?カーテンは?などと考えている時は、とっても楽しかったです。
これが、仕事になったらどんなに楽しいことでしょう。 そこで、10年間の専業主婦にピリオドを打って、住宅メーカー~他社の設計事務所を経てエムアンドエー設計工房に入社しました。
当時はまだ、高気密高断熱なんて誰も考えていない時代に、当時は外断熱なんてありませんでしたから、次世代省エネルギー住宅用の充填断熱材に気密テープを張り、アメリカから輸入した遮熱高断熱ペアーサッシを標準仕様とした、本当の高気密高断熱の住宅の設計をしている設計士としての宮崎に感銘を受け入社しました。
以降、宮崎も男性の考えた設計だけでは、お客様にとって使い勝手のよい家にはならないと感じ、今のエムアンドエー設計工房の形になりました。
ホームコンシェルジュ 中西悦子