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外皮平均熱貫流率(UA値)について
外皮平均熱貫流率(UA値)とは
住宅の断熱性能を表す数値であり、弊社のホームページでもたびたび登場する、「外皮平均熱貫流率」。
建築関係の人だけでなく、新築等をお考えで、かつ住宅の断熱や省エネにご興味のある方の中にも、
ご存じの方はいらっしゃるかと思います。
改めて説明させていただきますと、外皮平均熱貫流率とは住宅の内部から外部に逃げる熱量(熱損失量)を、住宅の外皮面積で平均した値となります。
「UA(ユーエー)値」とよばれ、数値が高いほど性能が高いことを表します。

省エネルギー基準により、日本全国は地域の気候ごとに8つの地域区分に分けられており、地域ごと・また断熱等性能等級ごとにクリアするべき(数値的に下回るべき)基準値が定められています。
ちなみに千葉県は市町村によって地域5・6・7のいずれかに相当し、
断熱等性能等級4の場合、地域5~7まで UA値:0.87以下 という基準になっています。
UA値計算の前に・・・外皮平均熱貫流率を計算するために必要となる要素
A.熱損失量
外皮平均熱貫流率の計算にはまず外皮全体の熱損失量を計算する必要があります。
熱損失量を求める計算式は、
外壁・屋根・天井など:面積(㎡) ×熱貫流率 ×温度差係数
基礎壁・土間床 :周長(m) ×線熱貫流率 ×温度差係数
となります。
上記のうち 温度差係数は、戸建住宅の場合
外気に接している・通じている部位:1.0
外気に通じる床裏:0.7
と、状況に応じて固定の値が用意されています。
熱貫流率については、以下の通りです(線熱貫流量については、ここでは省略します)。
B.熱貫流率(W/㎡・K)
壁体などを介した2つの流体間で熱の移動が生じる際、その熱の伝えやすさを表す数値です。U値と表示されることもあります。
数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能が高いと言えます。
外壁・屋根などは計算によって求めますが、サッシ・玄関ドアはカタログ等に記載されている種類ごとの熱貫流率を使用することができます。
外壁などの熱貫流率を計算で求めるためには・・・「熱伝導率λ(ラムダ)」、「熱抵抗値(R値)」という数値が必要です。
※上記のほか、断熱部と熱橋部(断熱効果がない・熱の出入りがある部分)の比率および、表面熱抵抗といった数値も影響します。これらは状況に応じて、固定の数値が用意されています。

C.熱伝導率(W/(m・K))とは
材料の厚さ1m、温度差1℃、1㎡あたりの熱の伝わりやすさを示します。λ(ラムダ)という記号で表示されることがあります。
数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能が高いと言えます。
断熱材の断熱性能を表す際に用いられ、試験などによって得られた数値がカタログにも記載されています。

D.熱抵抗値(㎡・K/W)
温度差1℃、1㎡あたりの材料の熱の伝わりにくさを示します。Rやθ(シータ)といった記号で表示されることもあります。
数値が大きいほど熱が伝わりにくく、断熱性能が高いと言えます。
材料の厚さ(m)÷熱伝導率λ(W/(m・K)) で熱抵抗値〈㎡・K/W)が求められます。
上の写真の断熱材(熱伝導率0.021)で、4cm(0.04m)のものを使用する場合、
0.04 ÷0.021 =熱抵抗値1.90 ㎡・K/W となります。
1÷各熱抵抗値の合計 の計算で、外壁等 各部位の熱貫流率を求めることができます(熱抵抗値の逆数であるため)。
外皮平均熱貫流率(UA値)の計算の手順
1.建物の図面・仕様書などを確認する。
外皮性能の計算には、建物各部分の寸法・構造、断熱材の種類と厚さ、窓・ドアの種類などが必要となります。
また外皮は、外壁・窓・屋根・基礎壁など、部位ごとに計算するため、該当する部位を区別します。
2.図面を参考に外皮 各部位の面積などを算出。
外壁・開口部・屋根・基礎壁・土間床など、建物の「外皮」とされる部位ごと・
また同じ部位でも断熱の仕様が異なる場合は別々に分けて面積を算出します(外張り断熱の部分と、外張り+充填のW断熱の場合など)。
また、窓・玄関ドアは一つ一つ熱貫流率が異なることがあるので、個別に面積を算出します。
3.各部位の熱貫流率を計算
①材料のC.熱伝導率から、D.熱抵抗値 を計算
②熱抵抗値の各部位(外壁・屋根など)の合計から 各部位のB.熱貫流率 を計算
③熱貫流率から各部位のA.熱損失量を計算
④「各部位の熱損失量の合計」を住宅の外皮面積で平均し、「外皮平均熱貫流率」を算出
以上の通り、計算の手順はさまざまな用語や数値が飛び交って難解にも見えるかと思いますが、
実際 業務の上では、長期優良住宅や認定低炭素住宅の技術的審査の際にも使用できるExcelの計算シートが公開されており、そちらに必要な項目・数値を入力することで、最終的に外皮平均熱貫流率を算出することが比較的簡易にできます。
構造の各種計算のように、省エネ計算を他社へ依頼する設計事務所・工務店等もありますが、弊社では、自社物件の外皮平均熱貫流率のほか、一次エネルギー消費量の計算も自社で行っています。
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